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『マタ・ハリ』



Wキャストの両公演を観てきました~!
以下、私情と主観に満ちた作品語り。
ネタバレしまくりです。ラストを知りたくないという方はご注意ください。


『マタ・ハリ』は、実在したフランスの女性スパイを描いたミュージカル作品。
おそらくスパイとしては史上最も有名な人ではないでしょうか。

舞台は第一次世界大戦まっただ中のフランス。

インドネシアのジャワ出身のダンサー、マタハリは東洋風のエキゾチックな踊りで国内外の人々を魅了していました。その人気はすさまじく、ヨーロッパ各地で引っ張りだこ。普通の人々は自由に旅行ができない状況だったにも関わらず、彼女だけは敵味方を問わず、どの国でもフリーパスで移動できました。

さらに、妖艶なダンサーである彼女のもうひとつの仕事は、各国の要人とのお付き合い。つまるところ高級娼婦。

そこに目をつけたのがフランス軍諜報局でした。ドイツ軍に押され劣勢だったフランス軍は、マタハリをスパイに仕立ててドイツ軍の情報を得ようともくろんだのです。

というわけで諜報局のラドゥー大佐が、公演後の楽屋に乗り込んできます。
薔薇の花を持っての登場! どちらのラドゥーも黒のフロックコートめっさ似合う!(≧ω≦)=3

スパイになれと言われたマタハリは、当然のごとく突っぱねます。すると彼はジャワ出身という彼女の経歴が偽物であることを世間にばらすと脅して去るのです。そう。マタハリがジャワ出身というのは真っ赤な嘘。本当はマルガレット・ツェレという名のオランダ人でした。

その後、マタハリは酔ったファンにからまれているところをフランス空軍のパイロット、アルマンに助けられて家に招きます。戦争が終わった後のことを話すうち、仲を深めていく二人。そして再び訪ねてきたラドゥーに対し、マタハリはスパイになることを承諾するのです。

おそらくフランスの勝利で戦争を終わらせるために、自分にできることをしようと考えたのではないかと推測。

ところが相手のすべてを支配したがるラドゥーと、奔放なマタハリとの相性がいいわけがありません。ていうか最悪。

マタハリはラドゥーの命令をたびたび無視して彼を苛立たせます。男達を渡り歩いてきた彼女にとって、ラドゥーもまたそんな男のひとりにすぎないのです。

逆に軍高官として、また首相の娘を妻に持つエリートとして、何でも思い通りにしてきたラドゥーは、自分をあしらうばかりの彼女に腹を立てつつも、次第に心捕らわれていきます。
いいぞいいぞ、おいしい展開!(≧▽≦)♪

そんなラドゥーの煩悶も知らず恋を育むマタハリとアルマン。ところが!
実はアルマンは、ラドゥーがマタハリの人柄や周辺を探るために送り込んだスパイだったのです…!
ってことが観客にだけ明かされて、観ているほうはハラハラ。

でもそのアルマン、マタハリと結ばれるやあっさり任務放棄(^◇^;)。恋に生きるタイプのようです。

一方のラドゥーは、任務中に姿をくらましたマタハリが自分の部下とこっそり密会していたことを知って大激怒。命令違反を理由にアルマンを最前線の激戦地に飛ばしてしまいます。

左遷が上官の完全なる私情だと察したアルマンは、「オレを殺しても彼女は奪えない」とラドゥーを糾弾。二人は上官と部下ではなく、マタハリを取り合う男同士として対峙します。

ここの歌が最高でした!!
激情のぶつかり合う、迫力のある楽曲のすばらしさもさることながら、ラドゥーとアルマンはちゅーするんじゃないかってくらい顔を近づけて歌うのです! あと三センチ…!!(何がだ)

ことにイチ推しの加藤ラドゥーと東アルマンでそれを観た日にはもう世界の中心でハレルヤを叫ぶしかありませんでした!
(*`ω´*)キリッ

……はい、続き。

前線にすっ飛ばされたアルマンは、そこで撃墜されてドイツ軍の捕虜となり、ベルリンの病院に収容されます。

何も知らないマタハリはラドゥーのもとを訪ね、アルマンというパイロットの消息を調べてほしいと懇願します。これまでの自分の働きに報いてほしいと言う彼女に、ラドゥーはベルリンの病院にいることを教えます。
この時、ラドゥーの振る舞いは落ち着いているのですが、内心はアルマンへのマタハリの本気度を知って穏やかでないんだろうな~と思ったら、やはり。

「ベルリンへ行くには私の許可が必要なはず。取引といこうじゃないか」と彼女をソファーに押し倒す!
ヒィィΣ( ̄◇ ̄; ノ)ノ
劣情に衝き動かされた彼は「愛なんてなくてもかまわない」と言い放ち、無理やり迫ったりするとかわりと最低! でも但しイケメンに限る枠で許す!!(え?)

とはいえマタハリもだてに身体張って生きていません。力のかぎり抵抗して逃げだします。そしてその場面の一部始終を妻に見られていたというラドゥーの悲運(笑)。あえなく妻に逃げられます。

一方のマタハリは、「マタハリ」のままでは国境を越えられないと考え、オランダのパスポートを引っ張り出してマルガレットとしてベルリンに向かいます。しかし苦労してたどり着いたベルリンで、何とかアルマンとの再会を果たした彼女は、そこで彼がラドゥーの命令で自分を監視するために近づいてきた事実を知るのです。

自分にとって唯一の愛がまやかしだった。
失意のうちにパリに戻った彼女を待っていたのは、二重スパイ容疑での逮捕でした。おまけに逮捕状を出したのはラドゥー。

実は、マタハリがスパイであることに気づいたドイツ軍が、彼女を二重スパイと思わせてフランスに逮捕させるため、ニセの暗号文を使って工作をしたのです。そしてラドゥーはドイツのその作戦に気づきながら、「フランス軍の劣勢を彼女のせいにして、ドイツのスパイを捕まえたことにすれば、国民の戦意昂揚につながる」と考えた首相に逮捕を指示され、逆らえなかったという事情。

逮捕時の、そして法廷に引き出されてきた時の、堂々たるマタハリの態度が大変カッコよくて痺れました。
幾重にも自分を裏切った世界に対し、誇りをもって立ち向かう姿とでもいいますか。

対するラドゥーは、決して乗り気ではないものの否とは言えない立場。
戦争に勝つためと自分に言い聞かせ、彼女の過去を法廷で暴き、あげつらい、糾弾します。さらにはアルマンとの密会を、ドイツ軍と連絡を取った疑惑にすり替えようとする、のですが。

そこにベルリンの病院を脱走したアルマンが駆けつけ、ラドゥーの証言はすべて嘘だと人々に訴えます。が、アルマンが真実を口にする前に、ラドゥーはマタハリに銃をつきつけて彼を黙らせる。
ぬぅぅどこまでも卑怯なヤツめ! 但しイケメンに限る枠で許すけど!!!(待て)

結局両者はつかみ合いになり、揉み合ううちにラドゥーに撃たれたアルマンは倒れ、マタハリの腕の中で息を引き取るのです。

自分の愛は真実だったと、気づいた瞬間に失ったマタハリは、ショックのあまり夢の世界に閉じこもり、その後に銃殺されます。
撃たれた後、空のようなどこかをさまよっていた彼女は、誰かに呼ばれたようにふり返り、そして顔を輝かせる――そこで幕。

アルマンに会えたんだな、と感じさせるステキな終わり方でした。

自分の生き方を曲げなかったために避けられなかったマタハリの最期が切ない物語。
どんな男も魅了するダンサーでありながら、恋をするときは普通の女性になってしまっていた彼女が、この先アルマンと幸せであることを祈りつつ……

ここで全力で主張したいと思います。

正直、ラドゥーのほうがカッコよかった!!!

完全に個人的な趣味です(笑)。
終戦を迎えた彼は、ざっくり傷ついたプライドを抱えたまま勲章を受けちゃったりするのではないでしょうか。

見方を変えれば、自分の選択で何万もの兵士や国の命運が左右されるという重圧に、絶えず苦しんでいた彼もまた歴史に翻弄される被害者と言えなくもない。

プレッシャーの中で、自由なマタハリに惹かれずにいられなかった彼にも、この先の幸あらんことを。

ミュージカル『マタ・ハリ』公式サイト


追記:
記事をアップした後で公式サイトのあらすじを読んだところ、マタハリがスパイになる決意をしたのは、ラドゥーからの執拗な要求に負けてのこと、と書かれていました。
ちょっと主観(妄想)が入ってしまったようです。お詫びして訂正させていただきます~。



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『ファントム』を観てきました~

芸術の秋ですね! 久しぶりの観劇は、城田優さん主演の『ファントム』でした!

軽く説明をしますと、『ファントム』はガストン・ルルーの小説『オペラ座の怪人』を元にしたミュージカルで、映画化もされたアンドリュー・ロイド・ウェバー版『オペラ座の怪人』とは、また別の作品。

もちろんひずきはロイド・ウェバー版の映画も舞台も観ました。同じ小説を元にして、あの作品とどのような違いがあるのかなーという興味に胸をふくらませ、行ってきました赤坂ACTシアター! そしたらこんなステキな等身大(たぶん)パネルが出迎えてくれました!!

DSC_0998_convert_20140929231652.jpg
わかりにくいかもしれませんが、顔の右半分に仮面をつけています

以下、これから観る予定がある人は読まない方がいいネタバレ含みますよ~

ロイド・ウェバー版のファントムは、優雅で冷酷、独善的なキャラクター。そのイメージが頭の中にあったので、それにこのビジュアルが加わるのであれば、こちらの『ファントム』でもさぞかしカッコいい怪人が観られるのだろうな! と期待にハァハァしながら幕が上がるのを待ちました。

そして、いよいよファントムの登場シーン! さぁ華麗に決めちゃって! …と待ち構えていたわけです。が。

ファントム、まさかの「僕」っ子でした…! Σ( ̄◇ ̄;)
いつもうつむきがちで、わがままなのにどこか自信のなさを感じさせる、ややコミュ障っぽい少年。しかもさらさら黒髪ストレート!(関係ない)

元劇場支配人・キャリエールと話をしている時、どこからともなく聞こえてきた声に「本当に幽霊がいる!?」とおびえ、「あれはオペラ座の新しい歌手だ」と説明されると、「え?」って顔をして「…でも歌えてないよ?」と途方にくれたように訊き返します。
想像してください。上の写真の人の話ですよ!? 別の意味でハァハァするわ!!

というのはまぁ冗談として。ロイド・ウェバー版と今回の『ファントム』との最大の差は、この、怪人をごく普通の人間として描いている点でしょう。生身の彼の物語は実に切ないものでした。

ある日彼は、劇場の隅でひっそりと歌うクリスティーヌに、生まれて初めての恋をします。そこから彼女の歌の教師となり、秘密の訓練をほどこすのはロイド・ウェバー版と同じ。

しばらくたったある日、オペラ座の前にあるビストロで新作のオーディションが行われることになり、ファントムはクリスティーヌにもそれに参加するよう勧めます。それはいいのですが、「僕は君の衣装も考えてあるんだ!」って。
え、ファントム、ちくちく衣装作ったの!? とちょっとツッコミw

そしてその後クリスティーヌは、ビストロでのオーディションに見事なドレスで登場するのです。やっぱり作ったんだ! ファントムったら夜なべしてちくちく裁縫したんだ! (*^◇^*)

そんな彼の献身と自分の努力が功を奏し、クリスティーヌは見事主役の座を射止めます。ですがその大舞台で、意地悪なプリマドンナ・カルロッタの嫌がらせにより、声が出なくなってしまうのです。

『自分の』オペラ座で、愛するクリスティーヌに最高の晴れ舞台を踏ませることを夢見ていたファントムは、この事件に大激怒。舞台の上から彼女をさらい、劇場の地下――自分の王国へと連れてきてしまいます。
彼の唯一の理解者である、元劇場支配人・キャリエールが彼女を連れ戻しに来るも耳を貸さず、
「彼女は裏切られた。もう一度裏切られるのを見過ごすくらいなら、死んだ方がマシだ!」
と、一生そこで彼女とふたり幸せに暮らすと決めてしまうのです。

一方純真なクリスティーヌも、「地上に戻るべきだ」というキャリエールの説得に耳を貸さず、そして彼が実はファントムの実の父親でありながら名乗り出ることができずにいる事実を知ると、ファントムの悲しい過去と、彼から受けた恩を思い、地下に残ると答えます。

結局キャリエールはクリスティーヌを残して去り、ファントムは幸せの絶頂に。

とはいえコミュ障のファントム君、好きな女の子と二人きりになると、どうしていいか分かりません。このへんの彼のがんばりが大変可愛かった!

「ピクニックに行こう! 森の中や沼のほとり。僕の住みかを案内するよ」
そう言ってワインとグラス、そしてお気に入りの詩集を入れたカゴを片手に、散歩に出かけるのです。乙女か! ヾ( ̄▽ ̄;)

インディ・ジョーンズばりの地下迷宮の背景も、ファントムのはしゃぎっぷりにかかると明るいお花畑のように見えてしまう不思議。

このピクニックでファントムの心は、彼女のことが好きで好きでたまらない気持ちと、自分のことを知って好きになってほしいという切望と、でも醜い本当の自分は知られたくないという葛藤の間で、休むことなく揺れ動きます。あますことなくそれを伝えてくる城田優さんの演技が見事でした!

けれど、自分の本当の姿を知れば彼女はきっと離れていくと信じ、頑なに隠そうとする彼へ、クリスティーヌは仮面を取って素顔を見せるようくり返し求めます。
「頼むから止めてくれ!」と苦しむファントムに「私を愛していないとおっしゃるなら、あきらめます」と言い、そして「私の愛しい人。どうか何もかも見せて」とそれはそれは優しく高らかに歌うのです。必死に拒み続けていたファントムも、これには陥落。

そしておそるおそる仮面を取ると……、クリスティーナは無言で走って逃げだした末、絹を引き裂くような悲鳴をあげるのです。

……ひでぇ……。

全力で傷をえぐられたファントムは絶望の叫びを上げ、しばらくのたうちまわるものの、やがて彼女を連れ戻すため地上へ向かいます。そしてそこで警官に撃たれてしまうのです。

地下に戻る途中で力尽きたファントム、ひそかにやってきたキャリエールに「彼女は悪くない。僕の姿が想像していたのと違っただけだ」とクリスティーヌをかばう。切ない…!
゚。(。ノд`゚)゚。

そんなファントムに、キャリエールは初めて自分が父親であることを打ち明けます。ファントムは「知っていた」と応じ、親子として、ひしと抱擁し合う――情感のこもった美しい歌が、…もっと前に打ち明けとけよ、というツッコミを吹き飛ばす感動的なシーンです。

しかしそんな胸に迫る父と息子のシーンも、クリスティーヌによってぶち壊しにされます。正確には、地下に戻る彼女についてきていた警吏たちによって。
彼女にそんなつもりはなかったのでしょうが、あんたって子は! 取り返しのつかないことばっかり!o(*≧д≦)o

そしてラスト、クリスティーヌは捕り物の最中にふたたび撃たれて瀕死のファントムに駆け寄り、彼の最期を看取るのです。
どのツラさげて まぁなんですか。様式美ってヤツですね。
少なくともファントムは、最後の最後で彼女と心を通わせ、その腕の中で幸せに眠ることができたので、よかったのではないでしょーか(棒読み)。

『You are the music』『Ave Maria』『Beautiful boy』等々、楽曲もとても印象的でした。ぜひCD化していただきたい!

でもあれですよね。やはり何よりインパクトがあったのは、少年のように純粋、かつ異様に女子力の高いファントムのキャラ設定。

オーディション前夜に、自分の作った衣装を身につけて歌うクリスティーヌの姿を想像し、遠くを眺めてうっとりとほほ笑みながら針を運ぶ怪人の姿が脳裏を横切りました
(*^◇^*)

ミュージカル『ファントム』公式サイト



レディ、失礼ですがヒーローをお間違えではありませんか?

『レディ・ベス』を観てきましたー。

あの『エリザベート』や『モーツァルト!』を手がけたクンツェ(脚本・作詞)さん、リーヴァイ(作曲)さんコンビの新作、しかも本邦初公開どころか世界初演!

観に行かないわけないじゃないですか~!!

いつもは観劇してからリピートするかどうか決めるのですが、今回は観る前に2回分のチケットを取ってしまいましたとも。そして期待通り、すばらしく見応えのある舞台でした!

衣装がすごい! セットがすごい! 音楽がすごい! キャストがすごすぎる!
そしてイモーテルの存在感ハンパない!笑 (大人の事情?)

と、興奮しきり。特に歌は2、3日ずっと頭の中を回るくらい残りました。

物語はエリザベス(後のエリザベス1世)が、姉のメアリー女王治世下において不遇の時代を堪え忍び、女王に即位するまでの数年間を描いたもの。

以下、例によって思いきりネタバレあります。

ひっそりと隠遁生活を送っていたエリザベスは、ある日吟遊詩人のロビンと出会い、自由奔放な彼に初めての恋をします。

このあたりは特に、エリザベスがロビンに勧められ、男装してお忍びに出るシーンが楽しかったです!

その前に男らしい振る舞いを覚えようと、小柄な身体で「かかってこい!」「ぅおんどりゃ~!」と雄々しく手足を振りまわして練習する様が可愛くて可愛くて (≧▽≦)

それまでにない時間を過ごすうち、エリザベスはますますロビンに惹かれていき……と、ここまではよかったのですが。

ですがですね。

ワタクシこの物語おいて一点だけ、どうしても看過できないことがありまして。

すぅー。(大きく息を吸う音)

ヒロインのピンチを助けるのはヒーローじゃなきゃ、ダメー!! o(≧Д≦o)

…乙女小説書きとして、これは声を大にして言わせていただきましょう。

なにせロビンは、エリザベスが危機に陥っても何もできないばかりか、人質にされてしまうダメっ子ヒーロー。

それに比べて、物語がだいぶ進んでから、おもむろに、ばばーん! と登場するスペインのフェリペ王子。彼の役どころがカッコ良すぎて! ダメでしょあれは…!!

娼婦と戯れながらの華やかな登場で魅せたフェリペ王子(もろ肌脱いでいたのはサービスショットですよね分かります!)、眼差しやお言葉ひとつで苦もなくベスの命を救ってしまうのです(しかも3度も!)。

きわめつけは高貴な佇まい&すらりとしたお姿の中、ひたすら目立つカボチャパンツ!
惚れてまうがなぁぁぁ!! ヾ(≧∇≦*)〃ヾ(*≧∇≦)〃

彼は権力、容姿、頭脳、野心と、すべてがそろった完全無欠の王子様(愛はないけどな!)

一方、色男ロビンは金も力も危機管理能力もなさすぎてもう……(愛だけはたっぷりだ!)

そういうわけで、ロビンと別れて女王として生きる道を選んだエリザベスが、政略結婚をふくめ一生結婚しないと決めてしまうのも、いまいち釈然としなかったといいますか。

恋と言えば、むしろメアリー女王の側近であるガーディナー司教の、スペイン大使ルナールへの切ない片想いの方が胸にせまってきました(※そういう話ではありません)。

ガーディナー司教の健気さ一途さに対し、ルナールのつれなさが徹底してて、ホント涙なしには観られません(※そういう話では…以下略)

それだけに、ベスを亡き者にしようと企むふたりが「あの女を消せ!」と意気投合して踊りまくるシーンは、司教様のハッスルっぷりが最高潮。司祭服の長ーい裾が一度も床につかないくらいの勢いで、くるくるくるくるまぁよく回ること!

…閑話休題。

あとは単純に個人的な好みなのですが、もう少しエリザベスが自力で自分の運命を変えるエピソードがあればよかったと思います。

姉のメアリー女王に虐げられても、司教に侮辱されても、ロンドン塔に収監されても、信念と誇りと心の自由を失わないベスの不屈さは物語の中で際立っていました。

それだけに、望まぬ状況を彼女自身の手でひっくり返す場面がないのが、やや物足りなかったかな…(ひっくり返すと歴史が変わってしまいかねないのですが、そこを何とか!)。

ちなみに件のカボチャ王子…いえいえフェリペ王子、この物語の後、エリザベスにプロポーズを断られた上、アルマダの海戦でたたき潰されちゃうんですよね。お気の毒…( ̄△ ̄;)


ミュージカル『レディ・ベス』公式サイト



『ダディ・ロング・レックス』を観てきました その2

ミュージカル『ダディ・ロング・レッグズ~足ながおじさんより~』を観てきました~。…って、いつの話だ!?
はい、先月です!(なんでいつもひと月遅れるんだ!)

主演の坂本真綾さんがほぼ出ずっぱり&歌いっぱなしの作品で、とても負担がかかるせいか公演期間の短い作品だったにもかかわらず、奇跡的にチケットが取れたので、張り切って行ってまいりました!

まず、あらすじ です。

孤児院に暮らす18歳の少女ジルーシャ(坂本真綾)は、
ある夜、大学に進学し勉学を保証するという思いもかけない手紙を受け取る。
条件は、“月に一度手紙を書くこと”。
手紙の主は、その夜に見た、車のヘッドライトに照らされ、
まるで足長蜘蛛「ダディ・ロング・レッグズ」のような影、まさにその人だった。
影でしか見たことのない相手だったが、ジルーシャは心を躍らせ手紙を送り続けた。
影の正体であるジャーヴィス・ペンドルトン(井上芳雄)もまた、
知性ある手紙を毎回送ってくれる彼女に、惹かれていくのに時間はかからなかった。
(公式サイトより)

感想はひと言に尽きます。

坂本真綾さん、めっちゃくっちゃ可愛いかった…!!

なにがって、ヒロイン・ジルーシャの発想――やること、言うこと、考えることの可愛らしさもさることながら、表情豊かな熱演によって、ヒロイン像はキラキラまぶしいほど!

可愛いといっても、彼女は孤児院育ちの現実主義者なので、物事を見る目はとても鋭く、そしてシニカルでもあります。けれど基本、世の中を肯定的にとらえている彼女の感性というフィルターを通すと、それが思わず「くすっ」と笑いたくなる形で出てくるのです。坊ちゃまがすとーんと恋に落ちるのも分かるわー!(笑)

そんな彼女が、まったく無自覚に華麗にジャービスを振りまわしまくる様に笑いが止まりませんでした。

技術的なことはよくわからないのですが、坂本真綾さんは歌やセリフの緩急のつけ方がすごく上手で、ちょっとした言い方でとても気持ちの伝わってくるのです。

もちろんジャービス役の井上芳雄さんもすばらしかったです!!(あたりまえ)

そもそもお金持ちの御曹司ジャーヴィス・ペンドルトンという役自体がかなり残念なヒーローなのですが、その残念さをコミカルに、そして哀切をもって演じられていました。

えぇ、話が進めば進むほど、それはもう素晴らしいヘタレっぷりで…!
思わずファンレターを書いちゃいました(1コ下の記事)(*'◇'*)ゞ

彼がジルーシャとパリに行くために四苦八苦した末、見事なまでに自滅するあたりのドタバタは非常にテンポよく、笑いっぱなしでした。

もし再演されるなら、絶対また観に行きます!

舞台後のトークショーで井上さんがポロリしていらしたように、トリプルキャスト、クアトロキャストならもう少し長い期間やれるのではないでしょうか(笑)


どうでもいいのですが、公演後、簡単にとったメモの中でジャービスがところどころジャベールになっていたという……
作品ちがいまんがな!



『ダディ・ロング・レックス』を観てきました その1

拝啓 ジャービス・ペンドルトン様

ミュージカル『ダディ・ロング・レックス~足ながおじさんより~』を拝見しました。そして原作の小説では描かれていないあなたのお姿を目にして、とても新鮮な感動を覚えたため、思わず筆を執ってしまいました。

多くの人が知っている通り、あなたは孤児の少女ジルーシャを影ながら援助し、大学に通わせたわけですが、それはあなたがずっと手がけてきた慈善事業で、彼女はその内のひとりに過ぎなかったのですね。

そのジルーシャが、あんなにも感性豊かで個性的な手紙の書き手だというのは、あなたにとって予想外だったことでしょう。

本来、学業の進み具合を知るための報告のであるはずの手紙を、受け取るごとに心待ちにするようになり、気づけば仕事もそっちのけで読みふけり、内容に一喜一憂するようになるなどとは、最初は想像もしていなかったのではないでしょうか。

ジルーシャは自分の恩人であるダディ(足ながおじさん)を白髪の老人と思い込み、しきりに返事を求めてきましたね。けれどあなたは偏屈で人づきあいが苦手。自分はたまたま金持ちに生まれただけで、退屈な人間だという強いコンプレックスを持っていたために、ダディを尊敬し慕う彼女に語る言葉がなく、何度も手紙を書きかけてはゴミ箱に捨ててしまっていました。

その姿には年相応の自尊心の高さと不器用さがよく表れていて、あなたのキャラクターを原作よりもはるかに魅力的に感じました。

けれどジルーシャのことが気になってたまらなくなったあなたは、彼女の同級生・ジュリアの叔父としてわざわざ大学まで会いに行きましたね。あの時の取りすました態度は、彼女に手紙のひとつも書くことができなくてもだもだしていた人物と同じとはとても思えず、見ていてニマニマしてしまいました。

そうそう。ジルーシャが、ルームメイトのサリーやそのお兄さんと楽しくクリスマス休暇を過ごしたという手紙を読んで愕然とし、即座に『ジュリアの叔父のジャービスとして』彼女たちをニューヨークに招待し、「とても楽しかった!」という手紙を『ダディとして』受け取った時のあなたの、これ以上ないほど極上のドヤ顔は可愛くてたまりませんでした!(≧∀≦)=3

また、サリーやそのお兄さんから夏休みの誘いを受けたという手紙を読むや、猛然とタイプを打ち始め、『ダディの秘書として』その誘いを断り自分の知り合いの農園に行くよう指示したときには、なんて心のせまいヤツと思いましたが、その後、農園でひとりしょんぼりしている彼女のところに、『ジャービスとして』さも偶然ででもあるかのように現れ、ふたりで釣りや乗馬やハイキングを楽しんだ――その時のあなたの浮かれっぷりときたら見ていられないほどだったので、心のせまいヤツというのは取り消します。正しくは詰めの甘い策略家といったところでしょうか。

どのへんの詰めが甘いかと言えば、やはりアレです。

次の夏、ジルーシャと一緒にパリに行くべくあれこれ手をまわして準備をするものの、家庭教師のバイトを見つけていた彼女はその誘惑にあらがい、かたくなに首を振りました。そんな彼女を、あなたは腹立ちまぎれに「パリに行かないなんて、バカで間抜けで分からず屋で頑固な子供だ」となじり、完全に怒らせてしまったではありませんか。

その後、ダディの威光を頼りに『ダディの秘書として』彼女にパリ行きを勧める手紙を書くも一足遅く、文字通りの orz...。

ジャービー坊ちゃま。間抜けはあなたです。

この一件であなたは、彼女がすっかり自立して、ジャービスとしてもダディとしても思い通りにすることができなくなったと気づき、この先はただ彼女を見守ろうと決めたのでしたね。

けれどジルーシャは、ダディに会うことを決してあきらめませんでした。卒業後、小説家としてデビューした彼女は、ダディへ学費を返済したら孤児院の理事となってあなたに会う、と書き送ります。

このへんのジルーシャの成長っぷりはカッコよく、まぶしいばかりでした。対照的に、それに圧倒されっぱなしのあなたはどんどんヘタレに…( ̄▽ ̄;)

「ダディは私だ! 私なんだ!」と便せんに向けて訴えるものの、結局ペンを置いてそれをぐしゃぐしゃに丸めてしまう。ダディ=ジャベールと知ったとき、彼女がどれほど落胆するか、そしてずっと嘘をついていたことをどんなに怒るか、そう考えて心が萎えてしまったのでしょうね。

最後にあなたが歌う「チャリティー」という曲に、その気持ちが凝縮されていたと思います。助けていただけでなく、自分も多くを受け取っていた。ジルーシャは手紙を書くことで、あなたに多くを教え、与えていたのですね。

最後にダディとして会うためにジルーシャを待ち受ける場面ではもう、死刑宣告を受ける前の被告のような悲壮感に満ちていて、問い詰めるジルーシャにいちいち、うん、うんと大きくうなずく姿がかわいすぎて、思わず肩をたたいて励ましたくなりました。

とはいえその直後、「なんでそんなことしたの?」と訊ねる彼女に「君のせいだ!」と逆ギレしたのはどうかと思います。「君があまりにもおもしろい手紙を書いてよこすから、会ってみたくなったんだ。この激しく愛嬌のある生き物に(←笑)。なのに君はダディを白髪でヨボヨボの老人と思い込んでいるから、僕自身として会いにいったんじゃないか!」

…この場面では、この話ほんとにハッピーエンドになるのかとハラハラしてしまいましたですよ。
その後なんとか結果オーライになり、胸をなで下ろしました。

この舞台は、原作よりも二人の関係性や恋に焦点が当てられていて分かりやすく、また原作では手紙の中で語られているだけのあなたの生身としての姿を見ることができて、とてもおもしろかったです。

長丁場の二人芝居ということで、役者さん方は大変だと思いますが、ぜひ再演を希望します。

マジメでプライドが高く見栄っ張り。けれど一途で正直でどこかかわいい、あなたにまた会えることを祈りつつ。

かしこ


プロフィール

ひずき優

Author:ひずき優
2月6日生まれ。
2007年度ロマン大賞入選。

変わり者が多いと言われる水瓶座、細かいことは気にしないO型。座右の銘は「果報は寝て待て」。今日も他力本願で生きています。


当サイトにおける全ての文章・写真の無断転載、記事への直リンクはお断りさせていただきます。またメールフォームのお返事には、しばらくお時間をいただく場合があります。ご了承くださいませ。

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