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『ダディ・ロング・レックス』を観てきました その1

拝啓 ジャービス・ペンドルトン様

ミュージカル『ダディ・ロング・レックス~足ながおじさんより~』を拝見しました。そして原作の小説では描かれていないあなたのお姿を目にして、とても新鮮な感動を覚えたため、思わず筆を執ってしまいました。

多くの人が知っている通り、あなたは孤児の少女ジルーシャを影ながら援助し、大学に通わせたわけですが、それはあなたがずっと手がけてきた慈善事業で、彼女はその内のひとりに過ぎなかったのですね。

そのジルーシャが、あんなにも感性豊かで個性的な手紙の書き手だというのは、あなたにとって予想外だったことでしょう。

本来、学業の進み具合を知るための報告のであるはずの手紙を、受け取るごとに心待ちにするようになり、気づけば仕事もそっちのけで読みふけり、内容に一喜一憂するようになるなどとは、最初は想像もしていなかったのではないでしょうか。

ジルーシャは自分の恩人であるダディ(足ながおじさん)を白髪の老人と思い込み、しきりに返事を求めてきましたね。けれどあなたは偏屈で人づきあいが苦手。自分はたまたま金持ちに生まれただけで、退屈な人間だという強いコンプレックスを持っていたために、ダディを尊敬し慕う彼女に語る言葉がなく、何度も手紙を書きかけてはゴミ箱に捨ててしまっていました。

その姿には年相応の自尊心の高さと不器用さがよく表れていて、あなたのキャラクターを原作よりもはるかに魅力的に感じました。

けれどジルーシャのことが気になってたまらなくなったあなたは、彼女の同級生・ジュリアの叔父としてわざわざ大学まで会いに行きましたね。あの時の取りすました態度は、彼女に手紙のひとつも書くことができなくてもだもだしていた人物と同じとはとても思えず、見ていてニマニマしてしまいました。

そうそう。ジルーシャが、ルームメイトのサリーやそのお兄さんと楽しくクリスマス休暇を過ごしたという手紙を読んで愕然とし、即座に『ジュリアの叔父のジャービスとして』彼女たちをニューヨークに招待し、「とても楽しかった!」という手紙を『ダディとして』受け取った時のあなたの、これ以上ないほど極上のドヤ顔は可愛くてたまりませんでした!(≧∀≦)=3

また、サリーやそのお兄さんから夏休みの誘いを受けたという手紙を読むや、猛然とタイプを打ち始め、『ダディの秘書として』その誘いを断り自分の知り合いの農園に行くよう指示したときには、なんて心のせまいヤツと思いましたが、その後、農園でひとりしょんぼりしている彼女のところに、『ジャービスとして』さも偶然ででもあるかのように現れ、ふたりで釣りや乗馬やハイキングを楽しんだ――その時のあなたの浮かれっぷりときたら見ていられないほどだったので、心のせまいヤツというのは取り消します。正しくは詰めの甘い策略家といったところでしょうか。

どのへんの詰めが甘いかと言えば、やはりアレです。

次の夏、ジルーシャと一緒にパリに行くべくあれこれ手をまわして準備をするものの、家庭教師のバイトを見つけていた彼女はその誘惑にあらがい、かたくなに首を振りました。そんな彼女を、あなたは腹立ちまぎれに「パリに行かないなんて、バカで間抜けで分からず屋で頑固な子供だ」となじり、完全に怒らせてしまったではありませんか。

その後、ダディの威光を頼りに『ダディの秘書として』彼女にパリ行きを勧める手紙を書くも一足遅く、文字通りの orz...。

ジャービー坊ちゃま。間抜けはあなたです。

この一件であなたは、彼女がすっかり自立して、ジャービスとしてもダディとしても思い通りにすることができなくなったと気づき、この先はただ彼女を見守ろうと決めたのでしたね。

けれどジルーシャは、ダディに会うことを決してあきらめませんでした。卒業後、小説家としてデビューした彼女は、ダディへ学費を返済したら孤児院の理事となってあなたに会う、と書き送ります。

このへんのジルーシャの成長っぷりはカッコよく、まぶしいばかりでした。対照的に、それに圧倒されっぱなしのあなたはどんどんヘタレに…( ̄▽ ̄;)

「ダディは私だ! 私なんだ!」と便せんに向けて訴えるものの、結局ペンを置いてそれをぐしゃぐしゃに丸めてしまう。ダディ=ジャベールと知ったとき、彼女がどれほど落胆するか、そしてずっと嘘をついていたことをどんなに怒るか、そう考えて心が萎えてしまったのでしょうね。

最後にあなたが歌う「チャリティー」という曲に、その気持ちが凝縮されていたと思います。助けていただけでなく、自分も多くを受け取っていた。ジルーシャは手紙を書くことで、あなたに多くを教え、与えていたのですね。

最後にダディとして会うためにジルーシャを待ち受ける場面ではもう、死刑宣告を受ける前の被告のような悲壮感に満ちていて、問い詰めるジルーシャにいちいち、うん、うんと大きくうなずく姿がかわいすぎて、思わず肩をたたいて励ましたくなりました。

とはいえその直後、「なんでそんなことしたの?」と訊ねる彼女に「君のせいだ!」と逆ギレしたのはどうかと思います。「君があまりにもおもしろい手紙を書いてよこすから、会ってみたくなったんだ。この激しく愛嬌のある生き物に(←笑)。なのに君はダディを白髪でヨボヨボの老人と思い込んでいるから、僕自身として会いにいったんじゃないか!」

…この場面では、この話ほんとにハッピーエンドになるのかとハラハラしてしまいましたですよ。
その後なんとか結果オーライになり、胸をなで下ろしました。

この舞台は、原作よりも二人の関係性や恋に焦点が当てられていて分かりやすく、また原作では手紙の中で語られているだけのあなたの生身としての姿を見ることができて、とてもおもしろかったです。

長丁場の二人芝居ということで、役者さん方は大変だと思いますが、ぜひ再演を希望します。

マジメでプライドが高く見栄っ張り。けれど一途で正直でどこかかわいい、あなたにまた会えることを祈りつつ。

かしこ


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プロフィール

ひずき優

Author:ひずき優
2月6日生まれ。
2007年度ロマン大賞入選。

変わり者が多いと言われる水瓶座、細かいことは気にしないO型。座右の銘は「果報は寝て待て」。今日も他力本願で生きています。


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